平成28年1月25日、加藤鰹 享年51歳逝去
当ホームページにもよく遊びによってくださった、鰹ちゃんでした。
全国大会も含めあらゆる句会に引っ張って行ってくれた鰹ちゃんでした。
そして、柳友の輪をひろげてくれました。
みんなに愛された鰹ちゃんでした。
ボクにとっては仲間であり師でもありました。
あまりにも早い一生を悼み、柳友としてネット句会をもって法要としたく企画いたしました。
まもなく七十七日を迎えますが、皆さんの句の力で明るく弔いご冥福を祈りたいと思います。
参加された方、追悼の句を寄せていただいた方、川柳を初めて投句された方もおりました。たくさんの投句、ありがとうございました。
又、忙しい中選者を快く引き受けていただきました選者先生方、改めて感謝申し上げます。
鰹ちゃんもきっと喜んでいると思います。
今回は追悼ということもあり、順位付けはしません。みなさんの一句一句をじっくり味わい鰹ちゃんへの追悼としたいと思います。
鰹ちゃん、ありがとう!!こんなことくらいしかできなかったけど・・・
団石 拝
画像から幅広く印象を広げた印象吟です。
参加吟1句(追悼句)全句掲載
発表:2016年3月13日(日)
選者:高瀬霜石 新家完司 赤松ますみ 板垣孝志 小林信二郎 望月弘(順不同)
総投句数:172句
参加者人数:90名
高瀬霜石 選
【佳句】
R18案山子のように立っている
濱山哲也
ベッキーに止まれ止まれと言ったのに
小林信二郎
お止め召さるな ただいま恋愛中
工藤青夏
キミになら殺されたっていいんだぜ
松田夕介
印籠にひざまずかずに生きている
門脇かずお
止まれとはご無体な回遊魚です
丸山進
この先で待ってるはずの焼き芋屋
青砥和子
男ですバカです知っていますとも
松田夕介
天国に行くまで止まれない私
真田義子
まぼろしを全速力で追っかける
藤原鬼桜
一億はあるが六文銭がない
石川憲政
止まったら一緒に泣いてくれますか
まみどり
楢山は左折原発は右折です
丸山進
太郎まだ竜宮城から帰らない
浪越靖政
この指に止まれと言った指が逝く
平尾正人
突っ走る人生それもよしとする
小松くみ子
トップギアそのまま宙へ飛びたった
斉尾くにこ
動きだす為の力を溜めておく
鈴木睦子
振り切って逝ってしまったナイスガイ
藤原鬼桜
お空から見ててください鰹さん
鹿野椿
【秀句】
いい店を探しに先に行ってます
寺部水川
二股が悪いこととは知っている
柳谷益弘
【特選】
身の丈を知らないぼくに風、くれた
西端 康孝
*選後感
主催者の言葉を借りれば「鰹は、ボクにとっては友だちであり、弟でもありました」。
ということで開催された追悼ネット句会。まだ皆さん悲しみを引きずってるようで、弔句っぽいのも多かった。
ボクも同様、シミジミしていると鰹が言いましたよ。
「霜石さんナニ湿気ってるの。まったくらしくもないじゃんか。いつものようにパパッと片付けてさ、美味いビール、クッーと飲んでくださいな」と。
そこで気合を入れ直して選をしました。その証拠に、いいと感じた順に選んであります。
ナニぃあなたの句がないって…おそらく24番目ですゴメンナサイ。
髙瀨霜石
新家完司 選
【佳句】
イヤリング落としてきたわバックして
東川和子
エンジンは背広の下にある微熱
藤田めぐみ
ここからは下半身だけ進めます
徳長怜
この指に止まれと言った指が逝く
平尾正人
トップギアそのまま宙へ飛びたった 斉尾くにこ
パスポート安く売ります彼岸行き 葱坊主
ぶつかってやっと止まった逆走車
毛利由美
まぼろしを全速力で追っかける
藤原鬼桜
穏やかさまとってウエストのライン
斉尾くにこ
回遊魚にストップなんてそれは酷
内田厚子
蟻ン子は止まれなんて字知らないよ
前田楓花
指示通り生きてもなんも旨くない
小松くみ子
字の読める鳥が時々来てとまる
板垣孝志
生き方を変えると九十九折りになる
和田洋子
赤信号歩きスマホも止まらせる
毛利由美
天国へ行く検問に引っかかる
瀬田明子
標識を見落とすなんと言う短気
松本清展
未体験ゾーンへ棹をさしてみる
和田洋子
立ち竦むこの世あの世の境目で
斉藤綺羅
印籠にひざまずかずに生きている
門脇かずお
【秀句】
サクラサクまでは面会謝絶です
赤松ますみ
病室は峠の茶屋のようなもの
石川憲政
【特選】
校則を破りクジラを追いかける
門脇かずお
*選後感
印象吟のおもしろいところは、課題の写真にピントを当てるのではなく、写真はあくまでもヒントであること。
従って、生まれ出た作品群に共通点は少なく、選考に当たっては、自由吟と同じ感覚で向かった。
特選句は、自由で元気なところを評価した。
新家完司
赤松ますみ 選
【佳句】
トップギアそのまま宙へ飛びたった
斉尾くにこ
清涼感残して視界から消えた
内田厚子
振り切って逝ってしまったナイスガイ
藤原鬼桜
君の背を追いかけている呼んでいる
荒巻やむ茶
この先で待ってるはずの焼き芋屋
青砥和子
ゴールするまではどうにも止まらない
高浜広川
笑いつつ行く止まるのも走るのも
杉山太郎
タケコプター自由自在な選択肢
孝井栞
生き方を変えると九十九折りになる
和田洋子
結界の空が傾くクラクション
斉藤綺羅
ポールには毎日水をやってるが
井丸昌紀
天国へ行く検問に引っかかる
瀬田明子
立ち竦むこの世あの世の境目で
斉藤綺羅
回転禁止の青春カーブ曲がります
青砥たかこ
断たれても断たれてもまだ道はある
平井美智子
左手が 右手信用しないから
古今堂蕉子
男ですバカです知っていますとも
松田夕介
擦れ違うS字カーブの真ん中で
柴田比呂志
生ぬるい傾斜この先より雨の
笹田かなえ
楢山は左折原発は右折です
丸山進
【秀句】
字の読める鳥が時々来てとまる
板垣孝志
シリアとは違うドイツのお月さま
濱山哲也
【特選】一億はあるが六文銭がない
石川憲政
*選後感
追悼句会ということで、鰹さんを偲ぶ作品も多く見うけられました。
投句一句一句に鰹さんへの深い思いを感じ、そしてその思いを共有させていただきながらの選でした。
道路標識、分かれ道、といったシーンからさまざまに展開されたイメージの中でも、秀句の「字の読める鳥」「ドイツのお月さま」、そして特選の「六文銭」を登場させた発想の非凡さには脱帽。
鰹さんにもきっと楽しんでもらえたネット句会だったのではないでしょうか。
貴重な機会を頂戴できたことに感謝いたします。
赤松ますみ
板垣孝志 選
【佳句】
停止線越えてしまったわたしたち
樋口 りゑ
人生の標識くれた友がいる
杉山太郎
どこまでも走り続けて風になる
まみどり
穏やかさまとってウエストのライン
斉尾くにこ
止まるのにためらいがある昨日今日
高浜広川
止めないで海の向こうに行きたいの
樋口 りゑ
未体験ゾーンへ棹をさしてみる
和田洋子
五十の僕が頂上前でしゃがんでる
月波与生
回遊魚にストップなんてそれは酷
内田厚子
左手が 右手信用しないから
古今堂蕉子
印籠にひざまずかずに生きている
門脇かずお
ダッシュするために確り停止する
寺部水川
銃口に向いて食べてはいけません
工藤青夏
集めては売りますストップ看板
西村みなみ
決めました止まれ無視したその日から
古賀由美子
直情な命令形に救われる
森山文切
少子化の逆三角が止まらない
三上武彦
生き方を変えると九十九折りになる
和田洋子
ここはまだ戻れるところどうします
ひとり静
止まったら一緒に泣いてくれますか
まみどり
【秀句】
サクラサクまでは面会謝絶です
赤松ますみ
かなしくなるくらいとまれの連続
ひとり静
【特選】
ポールには毎日水をやってるが
井丸昌紀
*選後感
特選=背の低い標識に水、発想とおとぼけが秀逸。アベノミクスを思い出す。
秀1=人生そのもの。
秀2=停止線を越えてまで逢いたい想い。
印象吟の課題ながらも追悼イメージの句が多かったのは故人の遺したものの大きさ。
頑張れ「たかね」。
板垣孝志
小林信二郎 選
楢山は左折原発は右折です
丸山進
R18案山子のように立っている
濱山哲也
人妻のデルタ地帯は地雷原
新家完司
回遊魚にストップなんてそれは酷
内田厚子
覚悟した道だ止まらず前を行く
孝井栞
男ですバカです知っていますとも
松田夕介
止まれない後は宇宙へ翔ぶばかり
西垣こゆき
炎の恋は警告無視で突っ走る
沢田正司
そのさきを追ってはならぬ白昼夢
澁谷さくら
かなしくなるくらいとまれの連続
ひとり静
ブレーキが効かなくなったふたり乗り
澁谷さくら
行儀よい恋ならはじめからしない
春田あけみ
気づけない命令形は愛だって
徳長怜
トップギアそのまま宙へ飛びたった
斉尾くにこ
放課後の部室 天邪鬼の君へ
菊池京
イヤリング落としてきたわバックして
東川和子
銃口に向いて食べてはいけません
工藤青夏
踏切でジャンプあなたも風になる
中矢長仁
決めました止まれ無視したその日から
古賀由美子
振り切って逝ってしまったナイスガイ
藤原鬼桜
【秀句】
校則を破りクジラを追いかける
門脇かずお
ブレーキを踏むと知らない穴にいた
日下部敦世
【特選】
ちょっぴり素敵なオーバーランの恋
水品団石
*選後感
山梨県大会に乗り込んで来たのが、昨日のように思い出されます。
鰹君とタ介君が大きなオナラを2発放って去りました、妬ましくも感じましたが良い思い出を残してくれました。
こんなに早く「追悼ネット句会」になるとは、残念です。
今回の投句が余り湿っぽいのが無かったのが救いだった「鰹の追悼」
恋の句を特選に取らせて頂きました。
小林信二郎
望月弘 選
チキンレース今日も銀河の埠頭にて
菊池京
ちょっぴり素敵なオーバーランの恋
水品団石
エンジンは背広の下にある微熱
藤田めぐみ
サクラサクまでは面会謝絶です
赤松ますみ
そのさきを追ってはならぬ白昼夢
澁谷さくら
とおりゃんせふたりの愛は止まらない
春田あけみ
トップギアそのまま宙へ飛びたった
斉尾くにこ
まぼろしを全速力で追っかける
藤原鬼桜
やあやあと宇宙の風がご挨拶
青砥たかこ
右折避け左折ばかりで行く若葉
飲亭みるく
炎の恋は警告無視で突っ走る
沢田正司
仮の世のマイナンバーがひっかかる
赤松ますみ
海みえる手前で母が旗をふる
句ノ一
君の背を追いかけている呼んでいる
荒巻やむ茶
削除キー揺らぐあなたを待っている
河内谷恵
止まれとはご無体な回遊魚です
丸山進
新しい春のページに行く二人
真田義子
踏切でジャンプあなたも風になる
中矢長仁
病室は峠の茶屋のようなもの
石川憲政
未体験ゾーンへ棹をさしてみる
和田洋子
【秀句】
この指に止まれと言った指が逝く
平尾正人
若さかな信号無視のひとり旅
山口艸花
【特選】
結界の空が傾くクラクション
斉藤綺羅
*選後感
ここから先は行っては駄目だというのに、禁断の木の実を求めて逝ってしまった鰹さんに。沢山の句を寄せて頂きありがとうございました。
彼の愛した「たかね」は、みんなで守っていきます。
望月弘
追悼句 六十句
たくさんのなみだうろこになりました
森山文切【沖縄】
袋回しキミの腰つきには勝てぬ
水品団石【静岡】
天国で演歌を歌い酒を酌む
大田かつら【沖縄】
かつぶしと昆布が絡み鍋滾る
山田こいし【東京】
祭りだワッショイ空もさびしくないように
渋谷さくら【兵庫】
ハチ公が番をしている句碑の中
柳谷益弘【静岡】
親分に出会い目覚めた句の心
中矢長仁【愛媛】
カタカナの魔術師ですねあ・な・たって
佐藤彰宏【福島】
御前崎戻り鰹を待っている
小林信二郎【山梨】
会えずじまいお互いの道それも運
小松くみ子【愛知】
かつぶしを肴にあおる森伊蔵
松本清展【鹿児島】
もういいよ泳がなくてもいいんだよ
板垣孝志【奈良】
松方はマグロ 鰹は秀句釣り
永見心咲【岡山】
かつぶしの情けだ止めてくださるな
丸山進【愛知】
またいつかパピコ半分分け合おう
松田夕介【静岡】
一人では句会の準備しんどかろ
石川憲政【兵庫】
御津町の話題通じる人でした
寺部水川【愛知】
鰹さん大きく揺らし旅へ出る
三好光明【愛知】
思い出は星になってもおどけてる
毛利由美【茨城】
走ること止めずにどこまでも鰹
石橋芳山【島根】
惜しいなぁー鰹の味がもう食えぬ
両澤行兵衛【大阪】
LINEする次の鰹の背を押そう
真島久美子【佐賀】
共に吹かれたかった紫波の風 富士の風
月波与生【青森】
今どの辺りを泳いでいるか回遊魚
日下部敦世【千葉】
極楽の招待状は鰹文字
斎尾くにこ【鳥取】
鰹って永久保存だね決まり
青砥たかこ【三重】
「かつぶし」に込めた想いを受け取りぬ
坂本加代【山口】
待ってたと胴上げされている鰹
西垣こゆき【三重】
かつぶしを噛んだ余韻に浸りきる
高浜広川【愛知】
心置きなく詠めたでしょうか沙羅双樹
山口艸花【福島】
もう君はいない今年の初鰹
句ノ一【静岡】
さよならは言わぬあの世で逢うために
風間なごみ【山梨】
待っててねみんな誰もが星になる
東川和子【三重】
いただいた今年の賀状に献杯
中川喜代子【愛知】
あの夏の風に吹かれていたみどり
ひとり静【奈良】
外は雪 加藤鰹の句集読む
松尾冬彦【長野】
会ったはず声掛けられぬまま今日に
井丸昌紀【大阪】
大阪で逢う約束をした四月
平井美智子【大阪】
ほんとにほんとに逢いたかったよ鰹さん
春田あけみ【鹿児島】
空に書いておく粉もんの約束
桂晶月【大阪】
ほらご覧光り輝く鰹星
葱坊主【埼玉】
惜しまれてかつぶし残し永遠の旅
内田厚子【島根】
お出会いもお別れもネットの鰹節
和田洋子【宮崎】
指相撲勝ち負けなどにこだわらぬ
三上武彦【東京】
デジタルのデータの中で 君に会う
鈴木睦子【静岡】
トラックに過積載する笑い声
徳長怜【徳島】
海にまた泣くのに君は泳いでる
西端康孝【兵庫】
忘れない初めて秀句呉れた人
松長一歩【愛知】
噛みしめた句滲むあなたの味が好き
飲亭みるく【静岡】
かつぶしの横顔ずっとわすれない
河内谷恵【兵庫】
川柳で鰹さんに出会ったのは宝
真田義子【宮城】
着ぐるみの中はソフトな風でした
赤松ますみ【大阪】
鼻に指入れる還ってくれそうで
藤田めぐみ【東京】
鰹からの最後の便り宝物
前田楓花【鳥取】
未送信メール煮詰めて林檎ジャム
菊池京【青森】
鰹クンの居たかたち富士山の雪
笹田かなえ【青森】
太陽に向かってトランペット吹く
門脇かずお【鳥取】
友達もおでんも大道芸もありがとう!
新家完司【鳥取】
こんなときおまえがいてくれたらなあ
高瀬霜石【青森】
回遊魚いまどのへんの句座に居る
望月弘【静岡】
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