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 50万題.JPG

50万アクセス記念句会

2021. 6.24( 結果発表 8.1)

印象吟題「古い農機具」(団石提供)

【選者】四人共選

・真島久美子

・米山明日歌

・藤田めぐみ

・小林信二郎

​(披講順・敬称略)

【各賞】

最多得点句賞 10,000円

久美子・明日歌・めぐみ特選 2,000円

​借家人信二郎賞 3,000円

【投句者限定プレゼント】

​選者披講と選評の披講動画

​・2021.7.29〜8.31まで視聴可能

​・投句者のみに動画URLをメールで送付済

​(2021.7.29)

【最多得点句賞】
頑固者だけで営む観覧車
西沢葉火
(受付順による)

【選者別特選】

・真島久美子選 

解体が終わり傀儡は貝になる

伊藤良彦

 

・米山明日歌選
アカシアの雨にうたれた十五歳

斉尾くにこ    
   
・藤田めぐみ選  
はっとして風とぽろぽろしてしまう

伊藤こうか 

 

・小林信二郎選
老衰がいいかポックリ死がいいか
橋倉久美子

【得点ランキング】

(特3点、秀2点、佳句1点、位順)

1位    のりこ   6点
2位    斉尾くにこ  5点
3位    桑原一歩 5点
4位    西沢葉火 5点
5位    伊藤良彦 4点
6位    伊藤こうか 3点
6位    橋倉久美子 3点

真島久美子 選

【特選】

解体が終わり傀儡は貝になる

伊藤良彦

​【秀1】

この国はイーハトーブになれたかい

ケンジロウ

【秀2

零落の過疎の村にも月は出る

横尾信雄

【佳句】

プラモデルみたいねラベンダー添える

真島 芽

祖父の声ゴロンゴロンと流れている

原加代子

 

私淑する人の無言を聴いている

加藤当白 

耳を澄ませばふるさとの鼻濁音

松尾冬彦

頑固者だけで営む観覧車

西沢葉火

物置に「宮沢りえ」のヌード本

小林信二郎

アカシアの雨にうたれた十五歳

斉尾くにこ

オルゴールでした午前零時までは

のりこ

輪廻待つ列にうっかり並んだの

長岡みゆき

パイソンの脱皮始まる納屋の奥

徳長 怜

ワクチンをわけてあげます笠地蔵

句ノ一

限界の村に禱りが残される

渡辺游石

南無阿弥陀となえてアプリ削除する

いわさき楊子

静けさに眠り続ける座頭市

石橋芳山

右奥の手配書のひと知ってます

永見心咲

かくれんぼ総理の草履みーつけた

句ノ一

喋っても黙っていても変な人

外澤とくろう

ノーベル賞 過疎の村から狙います

さわだまゆみ

ばあちゃんごめんベンチで野宿しています

佐藤彰宏

乾電池2本に負けを認めます

菊池京


【選評】
・秀2
どんな村であっても月は平等に照らしてくれるが、零落した村から見る月の冷たさは想像を絶するものだろう。月を見上げながら、消え去ってしまったたくさんの音を無意識に探している作者の研ぎ澄まされた感覚が伝わってくる。


・秀1
イーハトーブとは宮沢賢治の作った造語で理想郷のことであるが、宮沢賢治がもし生きていたら現在の日本をどう思うだろうか。改めて考えてみると、とてもイーハトーブとは呼べない惨状であるが、この句のように優しく問われると即答できずにたじろいでしまう自分がいる。


・特選
「傀儡」が持つ意味の広さと深さに考え込んでしまった。長閑な写真に見えるが、そこにある被写体の一つ一つが哀しい歴史を背負っていると考えると、貝にならざるを得なかった大きな存在「人間の業」が立ちはだかっていることに気付く。

上五の「解体」といううるさい句語が「貝」によって一瞬で静かになった。傀儡という日常的に使わない言葉の違和感よりも、その静けさが勝っている。

​【軸吟】

裏木戸にシーラカンスが干してある

​真島久美子

米山明日歌 選

【特選】

アカシアの雨にうたれた十五歳

斉尾くにこ

【秀1】

オルゴールでした午前零時までは

のりこ

【秀2

国民は豆殻ですか豆ですか

桑原一歩

【佳句】

故郷のペンペン草は君を待つ

和枝

卵かけごはんがみんな好きだった

よったま
 

もう何も丸太ん棒は恐れない

中前棋人

テノールの君失って幕下ろす

菊池 京

キシキシと泣いた小さなオルゴール

真島 芽

節くれだった手が動かしていた時代

澁谷さくら

ひとつぶの涙を置き忘れたまま

北山まみどり

呼名反応あり息をする湿地

藤井智史

頑固者だけで営む観覧車

西沢葉火

ひょうたん島が夢と勇気をくれました

斉尾くにこ

この国はイーハトーブになれたかい

ケンジロウ

フイルムを巻き戻したら夢でした

赤松ますみ

思い出を手繰り寄せると川の音

新家完司

ちゃんと眼をみてくれよまだ闘える

松田タ介

天辺に親父の汗の跡がある

桑原一歩

お静かにトムとジェリーのかくれんぼ

真島美智子

良い時代良い日知ってるレンゲ草

角田幸美

AIの星 にんげんが住んでいた

石渡政枝

始まりは馬小屋でした二足から

山本野次馬

物置に「宮沢りえ」のヌード本  

小林信二郎

【選評】

60ウン年の経験をふるに働かせて選句しました。

「お団子の石の函」ファンの皆様の川柳に対する熱い気持ちの伝わってくる句ばかりでした。

・秀2 

まさに今の総理の中途半端な態度をズバリといった句です。

あの写真から豆がでてきたのは、お手柄でした。

・秀1
オルゴールの一音一音は、想い出を刻む音。

ゆっくりと最期の音の余韻を楽しむんでいる様子が浮かびました。

・特選
一目みた時からこの句ときめました。
西田佐知子のハスキーな声をバックに十五歳は、なにを考えたのか。

そしてどんな大人のなったのか、想像の膨らむ句でした。

​【軸吟】

その先の目鼻なくしたような闇

​米山明日歌

藤田めぐみ 選

【特選】

はっとして風とぽろぽろしてしまう

伊藤こうか

【秀1】

頑固者だけで営む観覧車

西沢葉火

【秀2】

やわらかなときのながれがかびくさい

青砥たかこ

【佳句】

輪廻待つ列にうっかり並んだの

長岡みゆき

私淑する人の無言を聴いている

加藤当白

巻き戻し可能でしたら手を打とう

阪本ちえこ

曖昧はあいまいなまま自己主張

平川富美子

南無阿弥陀となえてアプリ削除する

いわさき楊子

物置に「宮沢りえ」のヌード本

小林信二郎

解体が終わり傀儡は貝になる

伊藤良彦

色抜けて錆びてはいないリユニオン

のりこ

オルゴールでした午前零時までは

のりこ

裏木戸にシーラカンスが干してある

真島久美子

こおろぎと一夜を明かすかぐや姫

真島美智子

生き様は喜劇だろうかゴミ屋敷

丸山ひとみ

動線の二十世紀はただ無口

真島久美子

メーテルと行ったキカイの星 地球

石渡政枝

ふる里のお化け屋敷が増えている

若芽

ピットイン僕の足腰取り替える

横尾信雄

ステイホームの羽衣が朽ちている

赤松ますみ

 

耳を澄ませばふるさとの鼻濁音

松尾冬彦

井戸一つもう辿れない祖父の納屋

北村克郎

ちゃんと眼をみてくれよまだ闘える

松田タ介

【選評】

題の写真は、ともすれば写真の説明や大喜利になりそうな難しいお題だったと思う。自分自身、作句に苦しんだ。

今回は、風化した様子がうかがえる印象から「時間」という概念でいただいた。コロナ禍で過ぎていった時間、人生のカウントダウンとカウントアップ、時代の流れの中での自分。そこを詠んでいる句に惹かれた。素晴らしい句に出会えて感謝です。

 

・秀2

「やわらかなときのながれが」というよく見るフレーズの後に「かびくさい」とばっさり突き放す。昔は良かったねと語られる「ときのながれ」は、よく見るともやもやとしたカビの胞子に覆われて、一見柔らかそうに見えているだけ。ひらがなでそれを表しながら、同時に「今これから、前へ行くだけ」という凛とした視線と静謐さが感じられて魅力的。

 

・秀1

時代という観覧車は、根幹はシンプルなパーツでできており、それを頑固者がしっかりと巡らせている。頑固であらねばならぬ理由は何なのか。それは不変でもあり普遍なのだろう。

 

・特選

人生は「はっとして」の連続なのかもしれない。その時々に吹く風との巡り合いに、驚いたり慌てたり、ドタバタしたり嬉しくなったり。歩んでいく人生の中でのさまざまな出来事、悲喜こもごもや味わいを「ぽろぽろしてしまう」とした表現が新鮮。

​【軸吟】

モジュールをはずして永い旅終えた

​藤田めぐみ

小林信二郎 選

【特選】

老衰がいいかポックリ死がいいか

橋倉久美子

【秀1】

国民は豆殻ですか豆ですか

桑原一歩

【秀2】

六本木ヒルズから出たアンティーク

佐藤久仁子

【佳句】

こおろぎと一夜を明かすかぐや姫

真島美智子

ポツンと一軒家 本当は拒絶

一美

横車彼をめぐって三つ巴

永井天晴

宇宙へは行かない父は田を守る

いわさき楊子

圏外に今も卑弥呼は生きている

荒牧やむ茶

乾ききった箱ゆらしてみる真昼

米山明日歌

巻き戻し可能でしたら手を打とう

阪本ちえこ

動線の二十世紀はただ無口

真島久美子

耳を澄ませばふるさとの鼻濁音

松尾冬彦

呼名反応あり息をする湿地

藤井智史

決戦はひみつ道具が錆びてから

藤田めぐみ

でたらめな脱穀機です秋終い

城野くみ子

タイムマシン完成させて逢いにゆく

さわだまゆみ

AIの星 にんげんが住んでいた

石渡政枝

アンニュイに流れるこぼれ出た時間

石橋芳山

オルゴールでした午前零時までは

のりこ

もう何も丸太ん棒は恐れない

中前棋人

宇宙人秘密兵器の置き忘れ

十音

頑固者だけで営む観覧車

西沢葉火

輪廻待つ列にうっかり並んだの

長岡みゆき

【選評】
ここに投句される方は川柳上級者ばかりなので、選ぶと言う作業は大変な事でした。

私は題(写真)に対して着かず離れずを頭に選をさせて頂きました。

 

・秀2

500年後には六本木ヒルズは「墓標」となり、その時の人類が使用した「ファイブGのスマホ」などga

発掘されるのです。

 

・秀1

「豆殻ですか豆ですか」と問われていますが、私は「豆殻」だと思います。どこの国でも庶民は汗を流し
て「豆殻」になるのです。


・特選

題のイメージは老衰を想像させますが、ポックリ死の機械は脳死状態なのでモーターを移植されてまだ働いているかも知れません。

 

【軸吟】

チチハハが巻き付いている糸車

​小林信二郎

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